ウィキペディア書き込みの危険 ←警告です。見てくださった方は、こちらも見てください。
この文の著作権は私にあり、転載を禁止します。
くずし字・読みの解答
くずし字実例へ戻る 候文へ ホームページトップへ戻る
現代の活字に直したもの(翻字)、( )内に読み下し文
1、乍恐以書付奉願上候 (恐れながら書付をもって願い上げたてまつりそうろう)
出典:林英夫『おさらい古文書の基礎・文例と語彙』柏書房
乍恐 (「恐れながら」と返し読みします)
以書付 (「書付をもって」と返し読みします)
奉願上 (願い上げたてまつり」と返し読みします)
候 (「そうろう」と読みます。候は文末に非常によく出てくるので、
このような記号や、点だけで表すことがよくあります)
この中で行書と言えるのは、「以」と 「書付」と「上」の字です。しかし「書」は上の「以」に頭を突っ込んだような形で、
この一文が「実物書面のどこにあるか」、「その場所には普通どのような文句が書いてあるか」、というような、
江戸時代の古文書の知識がないと、なかなか読み取ることができません。
つまり、読む前から、文書の表題の例がいろいろ頭に入っていると、現代人でも「書付」は読めるのではないか、
そういうレベルの話です。「上」は候を表す記号とくっついて見え、「候」が区別できて、初めて「上」だろうか、という
ことになるのではないでしょうか。
「恐」と「願」は、行書と草書の中間くらいのくずし方です。
また、返し読みは漢文から来たもので、江戸時代の公式文書や実用文では、こういう文章の作り方が普通です。
江戸時代には、公文書・実用文などのほとんどが、この「くずし字」の「候文」で書かれました。
文書の種類としては
以上のような、ほとんどあらゆる分野にわたって、下達・上申・互通の関係にある文書が、「くずし字」「候文」で存在します。
念のために申し添えますと、この例文は、私がウィキペディア「くずし字」本文に書いた都合上、引き合いに出したものです。
申し訳ありませんが、読みやすい例ではないと思います。しかし、庶民は意思疎通のために、一生懸命、下手でも字を書いた
のです。そしてそれは、たいていの場合、「相手には通じる」ように書かれた、ということを、考えておかなくてはならないでしょう。
そして私が最も問題にしているのは、このように江戸時代の社会の現実を取り仕切った文書について、高校までの教育では、
全く全く、説明がないことです。